デジタルカメラに装備されるチルト式の液晶モニタは最近ではもう当たり前の機能として定着しつつあるように感じます。
しかし、軽量コンパクトなカメラに魅力を感じる者としてはそれほど必須に感じることがありません。
あれば便利に撮れるチルト式モニター
カメラの背面に設置されたチルトモニターは屋内外を問わず様々な撮影シーンで活躍してくれます。
とくに、自分の目線より低い位置にカメラを構えるときなど、表示画面が自在に動いてくれて、しゃがみこむ必要がないなど便利に使えるのがチルトモニターという機能。
もはやチルト式でなければ撮影が不便に感じたり、カメラ好きの中でも機能として必須と感じてる人も少なくないでしょう。
そして、デジカメの操作機能として定番化しつつあるこのチルト式モニターこそがメーカーがスマホカメラとの棲み分け手段として重要視しているのは否めない部分ではないでしょうか。
カメラの軽量化には無駄になっている機能
このチルト機構を備えた液晶モニターが装備されるようになったのはマイクロフォーサーズでは、オリンパスのE-PL3あたりから。
機種によっては自撮りにも使えるというあたりも販売戦略のキーワードでした。
その後、E-PL5以降もチルト式モニターは搭載され続け逆にモニターが固定のモデルは数が少なくなっていったように感じます。
コンデジを含めカメラのモデル数自体が減少していく中で、とくにその部分を意識することもないまま現在に至ったというのが一般ユーザーの感想とも言えるでしょう。
このようにデジカメ機能として固定されつつあるチルトモニターですが、カメラ本体の軽量化という面でデメリットになるのではと感じる面があります。
本来カメラの手前側(レンズ裏)にあたる面はケースが液晶パネルで塞がれる構造になっていましたが、チルト式にすることによってカメラのケースとモニターを分離し稼働機構を追加することが求められるようになります。
気になる重量の増加だけでなく生産コストの増加が価格にも転嫁されるのも避けられないでしょう。
撮影時の姿勢以外にメリットとなるとあまり思いつく部分はありませんが、モニター部分が物理的に分かれることで電子部品の効率的な放熱という面では多少メリットがあるのかなと想像する程度。
小さくて軽いを優先したいカメラ好きとしては、チルトモニターなしモデルも4年に一度のオリンピックのようなスパンで構わないので実現してほしいところです。
カメラも小さいだけならスマホで充分という考え
スマホのカメラ性能が劇的な向上を果たした今、単体のデジタルカメラが小型である必要はないというのがメーカーの基本的な思考であると思われます。
デジカメは小型であることを放棄したというのが少数派目線での客観的な感想で、これはメーカーの方向性だけでなく多数の写真家(趣味レベルも含む)の理想も反映しているのかもしれません。
実際にGM1のような小型であることに特化したカメラを発売しても、性能や操作性より小型であることを評価して購入に至るユーザーはどれほどいるかというところでしょう。
よりクリエイティブな画像を撮影したいなら、機械の性能や装着可能なレンズへの拘りのほか操作ボタン類のサイズなども重要視されるのが当然とも考えられます。
ならば、軽装備を優先する場面で使うカメラはスマホ内蔵で充分かと言えば腑に落ちない部分もあります。
個人的には、カメラにPCと同じ多彩な機能が付いていたら撮影に集中できないという思いが意識の中に少なからずあります。
カメラ好きとしてシャッターを押すアクションを楽しむ際に、カメラ以外の通話や情報処理機能が内蔵されているスマートフォンは相応しいものと言えず、「餅は餅屋」でいうところの餅になりえないデバイス。
持ち運びやすい小さく軽いカメラが手に馴染む形をしていて、扱いやすいシャッターボタンが装備されているのが理想のカメラという思いがあります。
趣味を楽しむための機器として、そのほかには何もいらないというのはやはり少数派なのでしょう。
そんな軽装備優先のスタイルを唯一貫いている存在がRICOHのGRⅢ。GM1のようにレンズ交換式ではなくGRⅢを好むユーザーからすると評価のポイントは異なる部分かもしれませんが、高性能化とコンパクトを両立させたデジタルカメラなら今のところGRⅢしか選択肢がないのが実情です。
他の機種では、チルトモニタはもちろん優れた機能性、高性能などカメラの使い手をマルチに満たすことを目指しています。
一方、私たち一般の社会人が趣味を楽しむ時間は休日などに限られます。
その限られた時間を効率よくカメラに割り当てるなら、日常使いのバッグや限られた隙間時間にも簡単に割り込むことができる軽くコンパクトなカメラは理想であることでしょう。
独立したカメラであること、並な性能とカメラらしいワクワクさせるスタイルであること。
小型のカメラ好きが求めているのは、そんな単純すぎる理想です。
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